地熱の恵みを地域のために(岩手県八幡平市)
松川地熱発電所 [ 岩手県八幡平市 ]
運転開始:1966年10月
最大出力:23,500kW
八幡平市街から緑深い山道をくねくねと上っていくと突然見えてくる高さ45mの冷却塔。この象徴的な形を持つ冷却塔で有名な松川地熱発電所は1966年に運転を開始した日本で最初の商業用地熱発電所です。最大出力は23,500kW、八幡平市全体をまかなえるほどの電力を50年にわたって発電し続けています。国立公園内に位置するため、自然環境の保全・調和には細心の注意が払われています。また、蒸気を活用して作った温水は地元の温水供給会社を通じ、パイプラインで八幡平温泉郷、および地元の農業組合へ供給されています。送られた温水は温泉郷にある温泉施設やホテル、ペンション、別荘の温泉用、給湯用として使われるほか、ハウス団地の冬期暖房用として使われるなど、地域の人々の生活や産業に温かさと豊かさをもたらしています。
REPORT
松川地熱発電所から12kmほど離れた場所に並ぶたくさんのビニールハウス。外は真っ白な雪景色でもビニールハウス内には色とりどりの花や水菜、わさび菜といった野菜が一面に広がっています。その理由は地熱発電所からの温水。冬の寒い夜でもハウス内のチューブに温水を通して温室内を温めることで、一年中農業を営むことが可能になったのです。ハウス内を巡った後、20℃くらいに冷めたお湯はハウス周囲の融雪に使われるなど、無駄のない温水活用が行なわれています。