大霧発電所

九州電力(株)のパンフレットをもとに作成しております。

大霧(おおぎり)発電所は事業用として九州では、大岳発電所、八丁原発電所、山川発電所についで4番目、全国では10番目(自家用を含めて17番目)の地熱発電所です。

大霧発電所
名称 大霧(おおぎり)発電所
所在地 鹿児島県姶良郡牧園町万膳字銀湯1468-10
認可出力 30,000kW
蒸気部門 日鉄鉱業株式会社
発電部門 九州電力株式会社
運転開始 平成8年3月1日
発電方式 シングルフラッシュ

地熱発電とは

火力発電は石油などを燃やして蒸気を作りますが、地熱発電は、化石燃料は全く使わず、地下から取り出した蒸気を利用するクリーンな発電です。火力発電のボイラーの役割を地球が果たしているのです。地下の岩盤の中に閉じ込められマグマの熱で高い温度になっている地下水を蒸気井(じょうきせい)で取り出して発電に使います。蒸気を取り出した残りの熱水は、再び地下へ戻します。このように、地熱発電は、地熱という自然の力を利用した発電方法で、国内の資源を有効に活用しているのです。

自然景観をそのままに自然との調和を図ったエネルギーを

雄大な霧島連峰と展望絶景の栗野岳に囲まれ、韓国岳、大浪池を望む丘陵地に建設された大霧発電所。敷地面積約30万平方メートルの構内では自然の森林に加えて、植林したヤマザクラ、キリシマツツジ、ヤマモミジ、サザンカ、周囲は牧草地およびススキ群団が見られ、キュウシュウヒミズやシュウシュウノウサギ、タヌキたイノシシの姿も見ることができます。また、トビ、キジ、ヒバリも木々のあちこちに。当発電所は、このような美しく豊かな自然景観の保護など、自然との調和を図って建設されました。文化財やレクリエーション施設も多い牧園町と栗野町には、四季折々に多くの環境客が訪れます。このような恵まれた環境の中で、自然のエネルギーを利用した地熱発電が行われています。

発電所の位置

大霧発電所のある牧園町と栗野町

牧園町と栗野町は、鹿児島県の北部にあり、宮崎県との県境に接しています。発電所は、北に栗野岳、東に韓国岳、東南東に大浪池を望む標高700から900mの丘陵地にあり、付近にはスギ・ヒノキの植林や、牧草地が見られます。この地方には霧島温泉郷といわれる多くの温泉があり、約130の源泉が、浴用、給湯用、飲用等に利用されています。展望絶景の栗野岳をはじめ、春の新緑、初夏のミヤマキリシマ、秋の紅葉、冬の樹氷で有名な霧島、天孫降臨の神話が息づく高千穂峰など観光地も多く、四季折々の自然が楽しめます。

大霧発電所のある牧園町と栗野町

開発の経緯

昭和48年 日鉄鉱業(株)が地熱資源の調査を開始。
昭和54年 新日本製鐵(株)が地熱開発事業に参入。
平成元年7月 九州電力(株)と新日本製鐵(株)及び日鉄鉱業(株)が基本協定を締結。
平成2年2月 新日本製鐵(株)と日鉄鉱業(株)が共同出資をして
日鉄鹿児島地熱(株)を設立、同社が地熱開発事業を引き継ぐ。
平成4年2月 鹿児島県、牧園町及び栗野町に環境調査申し入れ。
平成5年6月 鹿児島県、牧園町及び栗野町に建設申し入れ。
平成5年12月 電源開発調整審議会通過。
平成6年2月 建設所設置。
平成6年11月 着工。
平成8年3月 営業運転開始。

特徴

発電能力

大霧発電所の出力は3万キロワット。 1軒のご家庭で平均3キロワットの電気を使うとすれば、約1万戸分の電気をまかなうことができます。年間の発生電力量は約2億3千700万キロワット時で、ほぼ5万4千キロリットル(ドラム缶27万本分)の石油が節約できます。

発電所の標高

霧島屋久国立公園の標高約826メートルの丘陵地にあります。このために、建物の形、色など自然環境に調和するよう配慮しています。

蒸気井の深さ

10本の蒸気井があり、それぞれの深さが違いますが、浅いもので1,000メートル、最も深いもので1,500メートルあります。平均1,300メートルあります。

蒸気の使用量

各々の蒸気井からでる蒸気は、地下の状態、深度、井戸の大きさで変わりますが、発電所全体としては、毎時290トン使用します。

基地の配置

大霧発電所は、霧島連山の西部に位置し、北東から西南へ下る暖斜面に坑井基地を配したレイアウトをとっています。周囲は牧草と森林で、発電所構内は植栽を行うとともに、建物の色彩を環境と調和するように茶とクリーム色で統一しています。

  • 敷地面積:297,600平方メートル
  • 主蒸気輸送管延長:1,172m
基地の配置

設備の概要

大霧発電所では、蒸気井から噴出した蒸気と熱水を気水分離器で分離し、蒸気は発電所へ、熱水は還元井に導きます。なお、発電部門を九州電力(株)、蒸気部門を日鉄鉱業(株)が担当し、共同で運営しています。発電所の運転状況の監視は、約60km離れた川内発電所から行っています。

蒸気井

地下深部の地熱貯留層から熱水と蒸気を取り出すための井戸です。 この蒸気でタービンを回し発電します。

蒸気井

二相流輸送管

蒸気と熱水が混じっている流体(二相流体)を蒸気井から気水分離器へ送る管です。

二相流輸送管

気水分離器(セパレーター)

蒸気井から取り出した蒸気と熱水混じりの流体を、蒸気と熱水に分離する装置です。分離された蒸気はタービンへ、残りの熱水は、還元井により再び地下へ戻します。

気水分離器(セパレーター)

シングルフラッシュ方式

蒸気は発電所に送られ、タービン・発電機を駆動して発電します(シングルフラッシュ方式)。

シングルフラッシュ方式

タービン・発電機

タービンは、発電機を回すための羽根車で、蒸気の力で回る風車のようなものです。1分間に3,600回転で発電機を回し、電気を作ります。

タービン・発電機

冷却塔

復水器でできた温水(発電に利用した蒸気の凝縮水)を冷却させる装置です。ここで冷却された水(冷却水)は復水器に送られて蒸気を冷却するために再び使用されます。

冷却塔

復水器

タービンで使用された蒸気を冷却水で冷却し、温水にする装置です。この温水は冷却塔へ送られます。

復水器

効率よく発電所を運転するために

大霧発電所は、一定出力で連続運転しているため常時操作する必要のないことから、発電機出力・タービン回転数など、常時運転状況の監視を、約60km離れた川内発電所から行っています。この遠隔常時監視方式を採用することにより、効率的な運用がはかられています。

効率よく発電所を運転するために

参考

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