山川発電所
九州電力(株)のパンフレットをもとに作成しております。
山川(やまがわ)発電所は事業用として九州では、大岳発電所、八丁原発電所についで3番目、全国では7番目(自家用を含めて13番目)の地熱発電所です。

名称 | 山川(やまがわ)発電所 |
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所在地 | 鹿児島県揖宿郡山川町大字小川字赤伏目2303番地 |
認可出力 | 30,000kW |
蒸気部門 発電部門 |
九州電力株式会社 |
運転開始 | 平成7年3月1日 |
発電方式 | シングルフラッシュ |
地熱発電とは
火力発電は石油などを燃やして蒸気を作りますが、地熱発電は、化石燃料は全く使わず、地下から取り出した蒸気を利用するクリーンな発電です。火力発電のボイラーの役割を地球が果たしているのです。地下の岩盤の中に閉じ込められマグマの熱で高い温度になっている地下水を蒸気井(じょうきせい)で取り出して発電に使います。蒸気を取り出した残りの熱水は、再び地下へ戻します。このように、地熱発電は、地熱という自然の力を利用した発電方法で、国内の資源を有効に活用しているのです。
南国の自然に囲まれた地球がエネルギーの発電所
年間降水量約1600ミリ、年間の平均気温が18.1度。南国・鹿児島でも特に亜熱帯的な雰囲気を持つ地に建設された山川発電所。開聞岳を望み、太平洋の潮風が優しく頬をなでていきます。この美しい景観を守るために、発電所の建設にあたっては、発電設備と蒸気設備の集中化を図り、土地の改変の面積を最小限にとどめました。さらに、発電所の敷地内にはフェニックス・ソテツ・ワシントンヤシ・ハイビスカスなどの亜熱帯樹木と花を植え、周囲には美しい緑の芝を張りめぐらせています。まるで、南の島の庭園を思わせるような山川発電所。地熱という、環境にやさしいエネルギー生産地にふさわしく、ナチュラルな魅力にあふれた発電所です。
発電所の位置
山川発電所のある山川町
鹿児島県・薩摩半島の南西端に位置し、琉球との貿易やカツオ漁業の基地として古くから栄えた町です。発電所は、海岸に近い田畑に囲まれ、開聞岳の眺望が美しいところにあります。この地域は霧島屋久国立公園に近く、四季の変化に富む雄大な自然に加えて、天然砂むし温泉や新鮮な魚介など多彩な魅力を備えており、年間を通じてたくさんの観光客が訪れます。

開発の経緯
昭和52年 | 石油資源開発(株)が地熱資源調査を開始。 |
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昭和63年10月 | 九州電力(株)と石油資源開発(株)が地熱発電事業に関する基本協定を締結。 |
昭和63年12月 | 石油資源開発(株)が九州地熱(株)を設立、同社が地熱開発事業を引き継ぐ。 |
平成4年12月 | 電源開発調整審議会通過。 |
平成5年9月 | 着工。 |
平成7年3月 | 営業運転開始。 |
平成17年2月 | 九州地熱(株)撤退(蒸気設備を九州電力(株)へ譲渡)。 |
基地の配置
山川発電所は、周囲を畑地に囲まれた平坦地に位置しており、山間地に多い地熱発電所の中では特色のある発電所となっています。
山川は貯留層温度が高く、タービン入口圧力を0.98MPaと高くしています。熱水中の塩分濃度が約30,000ppmと海水よりも高くなっています。
- 敷地面積:157,793平方メートル
- 主蒸気輸送管延長:339m

設備の概要
山川発電所では、蒸気井から噴出した蒸気と熱水を気水分離器で分離し、蒸気は発電所の蒸気タービンへ、熱水は還元井に導きます。発電所の運転状況の監視は、約80km離れた川内発電所から行っています。
蒸気井
地下深部の地熱貯留層から熱水と蒸気を取り出すための井戸です。 この蒸気でタービンを回し発電します。

二相流輸送管
蒸気と熱水が混じっている流体を蒸気井から発電所へ送る管です。

気水分離器(セパレーター)
蒸気井から二相流管を通ってきた蒸気と熱水混じりの流体を、蒸気と熱水に分離する装置です。分離された蒸気はタービンへ、残りの熱水は、還元井により再び地下へ戻します。

シングルフラッシュ方式
導かれた蒸気はタービン・発電機を駆動して発電します(シングルフラッシュ方式)。

タービン・発電機
タービンは、発電機を回すための羽根車で、蒸気の力で回る風車のようなものです。1分間に3,600回転で発電機を回し、電気を作ります。

冷却塔
復水器でできた温水(発電に利用した蒸気の凝縮水)を冷却させる装置です。ここで冷却された水(冷却水)は復水器に送られて蒸気を冷却するために再び使用されます。

効率よく発電所を運転するために
山川発電所は、約80km離れた川内発電所から、各種通信装置を用いて、発電機出力・タービン回転数など、運転状況の監視を行っています。この遠隔常時監視方式の採用により、山川発電所と川内発電所の総合的かつ効率的運用をはかることができます。
